エリス婦人科クリニック川崎駅

婦人科の予防接種について
|子宮頸がん・麻しん・風しんなど

Vaccine

婦人科で受けられる予防接種|エリス婦人科クリニック川崎駅

婦人科では、女性特有のがんを予防するワクチンや、将来の妊娠・出産に備えるためのワクチンなど、女性の健康に深く関わる様々な予防接種を受けることができます。

エリス婦人科クリニック川崎駅では、子宮頸がん(HPV)、風しん・麻しん、おたふくかぜの予防接種が可能です。これらのワクチンは、将来の健康や安全な妊娠・出産のため、すべての女性にとって非常に重要です。

婦人科でのワクチン接種は、子宮頸がん検診など他の検査を同時に済ませられるだけでなく、女性ならではの健康相談もできるという大きなメリットがあります。

当院の婦人科で受けられるワクチンと
主な対象者

子宮頸がん(HPV)

主な対象者・推奨される方
  • ・小学6年~高校1年相当の女性
  • ・20代以降で未接種の方
  • ・性交経験の有無にかかわらず、将来のリスクに備えたいすべての女性

麻しん(はしか)

主な対象者・推奨される方
  • ・妊娠を希望する女性とそのご家族
  • ・2000年4月1日以前に生まれ、2回接種が完了していない可能性のある方
  • ・医療、教育、保育関係者

風しん

主な対象者・推奨される方
  • ・妊娠を希望する女性、妊婦のパートナーや同居家族
  • ・2回接種の記録や、過去にかかった記憶が不明な方

おたふくかぜ(ムンプス)

主な対象者・推奨される方
  • ・将来的に妊娠を希望する男女
  • ・過去に接種歴・罹患歴がない、あるいは曖昧な方

「自分にはどれが必要?」「副反応は大丈夫?」といった具体的な疑問やご不安を解消できるよう、この下で各ワクチンについてくわしく解説します。大切なあなたの健康のために、ぜひご覧ください。

目次

子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)

子宮頸がんは、「HPV(ヒトパピローマウイルス)」というウイルスの持続的な感染が主な原因です。HPVは通常、性交渉によって感染するので、性交経験のある方であれば誰もが感染する可能性があるウイルスです。

このHPVへの感染を防ぐことで、子宮頸がんそのものを予防するのが「子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)」です。初めての性交渉を経験する前にワクチンを接種することで、高い予防効果が期待できます。

HPVには100種類以上の型(タイプ)が存在し、そのうち13種類に発がん性があるとされます。ワクチンはこれらの発がん性のある特定のHPVの型への感染を防ぐものです。ワクチンの種類によって、感染が予防できるHPVの型が異なります。

子宮頸がんワクチンの4価と9価とは?どっちがいい?

HPVワクチンの4価と9価

子宮頸がんワクチンには「4価」「9価」などの「価数」があり、この数字は予防できるHPVの型の数を表しています。「価数」が大きいほど、より多くの種類のHPV感染を防ぐことができます

9価ワクチンは4価ワクチンが防ぐHPVの型をすべて含んだ上で、さらに5種類の型も防ぐことができるため、より高い予防効果が期待できます。

そのため、どちらがいいか悩んだ時は特別な理由がない限り、9価ワクチン(シルガード9)の接種が推奨されています。

子宮頸がんワクチンの副反応

ワクチン接種によって起こりうる副反応には、以下のようなものが報告されています。

主な副反応

  • 注射した部位:痛み、腫れ、赤み
  • 全身症状:発熱、頭痛、倦怠感(だるさ)

これらの症状は子宮頸がんワクチン特有のものではなく、他のワクチンでも一般的に見られる反応であり、多くは数日以内におさまります

まれに起こる重い副反応

  • アナフィラキシー:急性の重いアレルギー反応(呼吸困難、じんましん等)
  • 失神:注射時の痛みや恐怖、興奮などをきっかけとした血管迷走神経反射

アナフィラキシーや失神などの症状については、報告件数が少ないので、過度な心配は不要です。

以前、子宮頸がんワクチン接種後に、広範囲にわたる体の痛みや歩行困難といった、多様な症状が報告されたことが大々的に報道され、不安を感じた方も少なくないかもしれません。

しかし、その後の国内外の専門機関による大規模な調査・研究の結果、「HPVワクチンの推奨を変更しなければならないような安全性の問題は見つかっていない」というのが、WHO(世界保健機関)や日本産科婦人科学会の一致した見解です。

しかし、HPVワクチンに限らず、注射そのものへの緊張やストレスが、体のさまざまな反応(接種ストレス関連反応:ISRR)を引き起こす可能性は指摘されています。

エリス婦人科クリニック川崎駅では、こうした経緯や皆様のご不安を真摯に受け止め、安全性を第一に考えています。接種前の丁寧なご説明はもちろん、安心して接種に臨める環境を整えておりますので、どんなことでもお気軽にご相談ください。

子宮頸がんになりやすい人

以下のような方は、子宮頸がんのリスクが高まる傾向にあると考えられています。

  • ・初めての性交渉の年齢が早い
  • ・性的パートナーの数が多い
  • ・出産回数が多い
  • ・喫煙習慣がある(タバコを吸う)
  • ・他の感染症や病気によって免疫機能が低下している など

子宮頸がんワクチンの接種がおすすめな方

子宮頸がんワクチンは、将来のリスクに備えるため幅広い年代の女性に推奨されます。特に以下の方におすすめです。

  • ・小学校6年生~高校1年生相当の公費対象の年齢の女性
  • ・20代以降で、まだワクチンを接種したことがない方
  • ・すでに性交経験があるものの、将来のリスクに備えたい方

性交経験前に接種すると最も高い予防効果が期待できますが、性交経験後であっても、まだ感染していない種類のHPVを防ぐことができます。そのため、公費対象の年齢を過ぎた方でも、将来のリスクを減らすために接種する価値は十分にあります。

参考: 厚生労働省|ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~

参考: 公益社団法人日本産科婦人科学会|子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために

MRワクチン(麻しん・風しん混合ワクチン)

MRワクチンは、1回の接種で約95%の方が麻しん・風しんの両方への免疫を獲得できる、非常に有効なワクチンです。

大人がこれらの病気に感染すると重症化しやすく、特に妊娠20週頃までの風しん感染は、お腹の赤ちゃんに深刻な影響を及ぼす可能性があります。

このワクチンは「生ワクチン」のため妊娠中は接種できず、接種後2ヶ月は避妊が必要です。未来の赤ちゃんを守る大切な準備として、妊娠を希望される方は計画的な接種をご検討ください。

※混合ワクチンのみではなく、麻しん・風しんそれぞれのワクチンもご用意しています。

麻しん(麻疹/はしか)
・風しん(風疹)とは?

麻しんと風しんは、ともにウイルスによる非常に感染力の強い病気です。子どもの病気と思われがちですが、大人が感染すると重症化しやすく、特に女性にとっては妊娠との関わりで知っておくべき重要なリスクがあります

麻しん(はしか)

主な症状
39℃以上の高熱、咳、鼻水、目の充血、全身の発疹
感染経路
空気感染、飛沫感染、接触感染
感染力
極めて強い
罹患時のリスク
肺炎や脳炎などの重い合併症を引き起こす可能性がある。
妊娠中の感染リスク

母体へのリスクが高い。

重症化しやすく、流産・早産の危険性が高まる。

風しん(風疹)

主な症状
発熱、全身に小さな赤い発疹、首のリンパ節の腫れ、関節痛
感染経路
飛沫感染、接触感染
感染力
極めて強い
罹患時のリスク
大人がかかると重症化しやすく、激しい関節痛が長引くことがある。
妊娠中の感染リスク

胎児へのリスクが極めて高い。

妊娠20週頃までの感染で、赤ちゃんが先天性風しん症候群※(心臓疾患、難聴、白内障など)になる可能性がある。

※母親が妊娠中に風しんウイルスに感染することで胎児に生じる病気の一群を「先天性風しん症候群(CRS)」という

MRワクチンの副反応

MRワクチン接種後、以下のような副反応がみられることがあります。しかし多くは軽度で一時的で、通常、数日以内におさまります

手術可能期間

  • ・発熱(37.5℃以上)
  • ・麻しん・風しんのような発疹
  • ・咳、鼻水
  • ・注射した部位の赤み、腫れ、痛み

ごくまれな副反応

  • ・アナフィラキシー(重いアレルギー反応)

参考: 厚生労働省|MRワクチン「ワクチンの安全性」

MRワクチンの接種がおすすめな方

MRワクチンや麻しんワクチン、風しんワクチンは、1歳と小学校入学前の計2回、子どもの頃に定期接種として受けるのが一般的です。しかし、大人になってからでも、以下に当てはまる方には、強く接種をおすすめします。

  • ・妊娠を希望する女性と、そのパートナー・ご家族
  • ・2000年4月1日以前に生まれ、2回の接種が完了していない可能性のある方
  • ・ワクチン接種歴や、過去にかかったかどうかが不明な方
  • ・医療・教育・保育関係者や、海外の流行国へ渡航予定の方

参考: 厚生労働省|MRワクチン「ワクチン接種を受けた方が良いのはどのような人ですか?」

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おたふくかぜワクチン(ムンプスワクチン)

おたふくかぜはムンプスウイルスが原因の感染症で、耳の下の腫れや発熱が主な症状です。大人が感染すると、難聴や髄膜炎といった重い後遺症や、不妊の原因となる合併症(卵巣炎・精巣炎)、妊娠中の流産など、深刻なリスクを伴います。

治療法がないため、ワクチンによる予防が数少ない対策です。1回接種で88%、2回接種で99%と非常に高い確率で発症を防げます

ただし「生ワクチン」のため妊娠中は接種できません。妊娠を希望される方は、事前の接種をご検討ください。

参考: 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト|流行性耳下腺炎(ムンプス、おたふくかぜ)

おたふくかぜが女性に及ぼすリスク

おたふくかぜは合併症のリスクが高く、女性の場合は卵巣炎を引き起こす可能性があります。大人になってから感染した場合は重症化しやすい点にも注意が必要です。卵巣炎は不妊の原因になります。

また、妊娠中におたふくかぜに感染すると、自然流産が起こる危険もあるのです。

上記のような理由から、「おたふくかぜにかからないこと」が女性の健康において非常に重要です。

感染防止のために、ワクチンを活用しましょう。

おたふくかぜワクチンの副反応

おたふくかぜワクチンは安全性の高いワクチンですが、他のワクチンと同様に、副反応が起こる可能性があります。多くは軽度なもので、自然に回復します

主な副反応

  • ・接種後10~14日頃にみられる微熱
  • ・耳の下、頬、あごなどの軽い腫れ

まれに報告される副反応

  • ・無菌性髄膜炎(接種後3週間前後)
  • ・アナフィラキシー(重いアレルギー反応)
  • ・血小板減少性紫斑病
  • ・難聴、精巣炎など

副反応として報告のある無菌性髄膜炎は、約40,000接種に1人程度の頻度です。おたふくかぜに自然感染した場合の発症リスクと比較すると頻度ははるかに低く、症状も軽いことがほとんどです。

ご心配な点があれば、接種前に医師がくわしくご説明しますので、お気軽にご質問ください。

参考: 日本小児科学会|おたふくかぜワクチン「ワクチンの副反応」

おたふくかぜワクチンの接種がおすすめな方

おたふくかぜについては、十分な抗体(免疫)がない方は年齢を問わず感染するリスクがあります。以下に該当する方は、ワクチンの接種を強くおすすめします。

  • ・過去におたふくかぜにかかったことがない、またはワクチンを接種したことがない方
  • ・ご自身の罹患歴や接種歴が不明な方
  • ・将来的に妊娠・出産を考えている女性と、そのパートナー

おたふくかぜワクチンは、日本では任意接種のため、子どもの頃に接種歴がない方やご自身の抗体の有無がわからない、という成人の方が少なくありません。抗体がない方やご不安な方はご相談ください。

予防接種・ワクチン料金表|エリス婦人科クリニック川崎駅

ムンプス 6,600円
風疹 6,600円
麻疹 6,600円
風疹麻疹混合 11,000円
シルガード
(HPVワクチン9価)
29,800円/回
抗D免疫
グロブリン製剤
22,000円

よくある質問(FAQ)

Q 子宮頸がん検診も一緒に受けられますか?
A

はい、もちろん可能です。ワクチン接種のタイミングで、子宮頸がん検診やその他の婦人科検診を同時に受けていただくことで、より総合的な予防医療につながります。ご予約の際にその旨をお申し付けください。

Q ピルを服用中ですが、ワクチンを接種しても問題ありませんか?
A

はい、低用量ピルやホルモン補充療法(HRT)など、ホルモン剤を服用中の方でも、各種ワクチンを問題なく接種いただけます。問診の際に必ず服用中のお薬についてお申し出ください。

Q 過去の接種歴が不明です。まず何をすればよいですか?
A

ご自身の免疫状態がご不明な方には、まず抗体検査をおすすめしています。簡単な血液検査で抗体の有無を調べ、必要なワクチンをご提案しますので、お気軽にご相談ください。

Q ワクチン接種に健康保険は使えますか?
A

病気の予防を目的とするワクチン接種は、原則として保険適用外(自費診療)となります。ただし、子宮頸がんワクチンのように公費助成の対象となるものもございます。くわししくはお尋ねください。

Q ワクチンを接種すれば、100%病気を防げますか?
A

100%の発症予防を保証するものではありません。しかし、ワクチン接種で感染リスクを下げることができます。また、万が一感染した場合でも、重症化を防ぐ効果が期待できる、極めて有効な予防法です。