流産手術とは?
方法や流れ費用なども解説
Miscarriage
流産とは?
流産とは、妊娠の早い時期に、お腹の中で育っていた赤ちゃんの成長が止まってしまい、妊娠の継続ができなくなる状態のことです。妊娠の約15%が流産に至ると言われており、決して珍しいことではなく、誰にでも起こり得るものです。
その原因のほとんどは、赤ちゃんの染色体異常であり、受精卵の段階で生じた偶発的なものとされています。お母さんの日常生活や行動が原因となることはありません。ですから、どうかご自身のことを責めないでください。初めての流産の場合、特別な検査は基本的に必要ないとされています。何よりも大切なのは、今はゆっくりと心と身体を休ませ、回復させてあげることです。
流産が起こった後、手術を行うケースと行わないケースがあります。
手術をせず、自然な身体の力で赤ちゃんが入っていた袋(胎嚢)などが体外へ排出されるのを待つことを「自然排出」と呼びます。
※参考: 流産・切迫流産|日本産婦人科学会
流産手術とは?
流産手術とは、専用の器具を使い、子宮の中に残った胎嚢や組織などの内容物を丁寧に取り除くことで、子宮の安全な回復を促す処置です。
この手術は主に、出血などの自覚症状がないままお腹の中で赤ちゃんの成長が止まっている「稽留(けいりゅう)流産」や、自然に排出が始まったものの組織の一部が子宮内に残ってしまった「不全流産」の場合に行われます。
メリット
- ・比較的心身の負担が軽い
- ・安全性が確保されている
- ・確実性が高い
- ・計画的に進められる
デメリット
- ・比較的心身の負担が軽い
- ・安全性が確保されている
- ・確実性が高い
- ・計画的に進められる
流産手術の方法
流産手術の方法は、大きく分けて2種類あります。1つは、器具を用いて子宮内の組織を掻き出す「掻爬(そうは)法」、もう1つは、専用の器具で組織を吸い出す「吸引法」です。
エリス婦人科クリニック川崎駅では、患者様のお身体への負担を最小限に抑えるため、WHO(世界保健機関)も推奨する「MVA(手動真空吸引法)」を採用しています。
MVAは、従来の方法に比べて手術時間が短く、術後の出血や感染症、子宮腔の癒着といったリスクが低い、安全性の高い方法です。
当クリニックでは妊娠12週未満の方を対象としており、手術は日帰りで受けられます。
流産手術の痛みは?
手術は、点滴による静脈麻酔で完全に眠っている間に行いますので、痛みを感じることはまずありません。手術の前に必要となる子宮口を広げる処置なども、麻酔が効いてから行いますので、ご安心ください。
手術後、麻酔から覚めると生理痛のような軽い痛みを感じる場合がありますが、クリニックから処方する痛み止めで十分に和らげることができます。
流産手術の費用|エリス婦人科クリニック川崎駅
|
流産手術(MVA法) ※手術代のほかに、診察料・検査料などがかかります。 |
約20,000円 |
流産手術は保険適用?
医師が治療のために必要と判断した流産手術は、健康保険の適用となります。
具体的には、「稽留流産」や、内容物の一部が子宮内に残ってしまった「不全流産」と診断された場合が対象です。
なお、ご自身の希望による人工妊娠中絶手術は、病気の治療とは異なるため、保険適用にはなりませんのでご留意ください。
自然排出とは?
自然排出とは、手術をせず、子宮の収縮によって自然に流産を完了させる方法です。「稽留流産」と診断された後、多くは1週間以内に生理時のような腹痛や出血が始まります。その後、数時間から数日かけて排出されますが、時期には個人差があります。
ただし、内容物が完全に排出されなかったり、多量の出血が起きたりするリスクも伴います。以下のような場合は、安全のため速やかに医師の診察を受けてください。
- ・1週間以上経っても排出が始まらないとき
- ・出血が非常に多い、腹痛が我慢できないなど、不安な症状があるとき
メリット
- ・手術や麻酔の身体的負担がない
- ・追加の医療費がかからない
デメリット
- ・いつ完了するか予測が難しい
- ・痛みが強い場合がある
- ・不全流産や多量出血のリスクがある
流産手術と自然排出の違い
流産手術と自然排出との違いは、主に「計画的か、自然な経過に任せるか」にあります。それぞれの特徴を以下の表にまとめました。
| 比較項目 | 流産手術 | 自然排出 |
|---|---|---|
| 方法 | 医療器具で計画的に子宮内容物を取り除く | 身体の自然な力で排出されるのを待つ |
| 計画性 | 高い(手術日を決めて実施) | 低い(開始や終了の予測が困難) |
| 所要時間 | 短い(手術自体は10〜20分) | 長い(数日〜数週間かかる場合も) |
| 痛み | 少ない(麻酔下で実施、術後に軽い痛み) | 強い可能性がある(陣痛様の腹痛) |
| 身体的介入 | あり(手術・麻酔) | なし(自然な経過) |
| 費用 | 必要(稽留流産や不全流産と診断された場合のみ保険適用) | 不要(追加処置で費用発生の可能性あり) |
流産手術
医療器具で計画的に子宮内容物を取り除く
高い(手術日を決めて実施)
短い(手術自体は10〜20分)
少ない(麻酔下で実施、術後に軽い痛み)
あり(手術・麻酔)
必要(稽留流産や不全流産と診断された場合のみ保険適用)
自然排出
身体の自然な力で排出されるのを待つ
低い(開始や終了の予測が困難)
長い(数日〜数週間かかる場合も)
強い可能性がある(陣痛様の腹痛)
なし(自然な経過)
不要(追加処置で費用発生の可能性あり)
このように、どちらの方法にも利点と注意点があります。ご自身の心身の状態やライフスタイルに合わせて、医師と相談しながら最適な方法を選んでいきましょう。
日帰り流産手術の流れ|エリス婦人科クリニック川崎駅
エリス婦人科クリニック川崎駅での日帰り流産手術は、以下の流れで進みます。手術そのものは10〜15分程度ですが、術前の準備や術後の休憩もございますので、お時間に余裕をもってお越しください。
1. ご来院・受付
事前にお電話またはWEBでご予約のうえ、ご来院ください。
2. 術前の検査
安全な手術のため、超音波検査、血液検査、問診などを行います。
3. 手術
静脈麻酔で眠っている間に、10〜15分ほどで完了します。痛みは感じません。
4. 術後の休憩
回復室で1〜2時間お休みいただき、体調が安定したらご帰宅となります。
5. 術後検診
術後1週間を目安に再診し、子宮の回復状態などを確認します。
ご不安な点があれば、どの段階でも遠慮なくご相談ください。
日帰りの流産手術ならエリス婦人科クリニック川崎駅
流産というお辛い経験をされ、深い悲しみやご自身を責めるお気持ち、手術への不安など、複雑な感情の中にいらっしゃることと思います。エリス婦人科クリニック川崎駅では、そうした患者様のお心に深く寄り添うことを第一に考えています。
当クリニックでは、お身体への負担を最小限に抑えることができるWHO推奨の「MVA法」による日帰り手術を行っております。ただ処置を行うだけでなく、痛みや不安を少しでも和らげられるよう、丁寧な説明と細やかなケアを徹底し、術後のサポート体制も万全に整えています。
初期の流産は、誰のせいでもない自然な出来事です。どうかご自身を責めず、心と身体を休ませてあげることを最優先してください。川崎駅でお悩みの方は、どんなことでも一人で抱え込まず、私たちに遠慮なくご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q
流産手術後、仕事はいつから再開できますか?
▼
デスクワークなど、お身体に負担の少ないお仕事であれば、手術の翌日から復帰される方もいらっしゃいます。ただし、立ち仕事や力仕事は術後数日間は避け、ご自身の体調を第一に考えて無理のない範囲で再開してください。
Q
流産手術後、どのくらい安静にすればよいですか?
▼
手術当日はもちろん、翌日も含め2〜3日は無理をせず、ゆっくりお過ごしください。簡単な家事などは可能ですが、まずは心と身体を休ませることを最優先にしましょう。体調が良ければ、徐々に普段の生活に戻していってください。
Q
流産手術後に食べてはいけないものはありますか?
▼
特に「絶対にいけない」というものはありませんが、術後は身体がデリケートな状態です。アルコールや刺激の強い香辛料、脂っこい食事は、回復を妨げる可能性があるため1週間程度は控えましょう。消化が良く、栄養のある食事がおすすめです。
Q
流産手術に夫やパートナーが付き添うことは可能ですか?
▼
はい、当クリニックでは、男性の方も付き添いが可能です。特に手術では静脈麻酔を使用するため、術後は眠気が残ったり、判断力が低下したりします。安全にご帰宅いただくため、付き添いの方にご協力をお願いするケースもあります。
ただし、院内にはほかの女性患者様がいるため、ご配慮をお願いする場合もあることをご了承ください。
Q
流産手術後の性交渉は、いつから可能ですか?
▼
術後しばらくは子宮が回復しておらず、感染症のリスクが高い状態です。安全のため、術後2週間を目安に行う検診で医師が問題ないと判断するまでは、性交渉をお控えください。
Q
流産手術が原因で不妊症になりますか?
▼
適切な流産手術であれば、その後の不妊症の直接的な原因になることはまずありませんのでご安心ください。特に当クリニックで行うMVA法は、子宮内膜へのダメージを最小限に抑える方法です。多くの方が、術後に心身が回復してから次の妊娠・出産をされています。
Q
自然排出後でもすぐに妊娠できますか?
▼
「流産後すぐに妊娠した方が出産率が高い」という海外の報告もありますが、医学的に「妊娠しやすくなる」という明確な根拠は残念ながらありません。
当クリニックでは、子宮が十分に回復し、心身の状態が整うのを待つことが大切だと考えています。そのため、生理を1〜2回見送ってから妊活を再開することをおすすめしています。焦らず、まずはご自身の身体を第一に考えましょう。