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経口中絶薬は病院や薬局で買える?値段や効果について
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2023年4月に日本でも中絶薬承認

2023年4月28日経口中絶薬が日本で承認

2023年4月28日、厚生労働省はラインファーマ株式会社が申請した経口中絶薬「メフィーゴパック」の製造販売を正式に承認しました。

メフィーゴパックは、妊娠を継続できなくする薬(ミフェプリストン)と、子宮の収縮を促す薬(ミソプロストール)の2種類を1つにまとめたパック製剤です。妊娠63日(妊娠9週0日)以内の子宮内妊娠の中絶に用いられます。

本記事では、エリス婦人科クリニック川崎駅での見解も交えつつ、メフィーゴパックの特徴・法制度・安全上の注意点などを解説します。

目次

中絶薬は病院や薬局で買える?購入方法は?

中絶薬(メフィーゴパック)は一般のクリニックや薬局では買えず、母体保護法指定医師がいる医療機関でのみ処方を受けられます。インターネット通販や個人輸入は法律で禁止されており、違法行為にあたるだけでなく健康被害の危険性も高いため注意が必要です。

過去には、個人輸入された中絶薬によって重い健康被害が発生した事例も報告され、厚生労働省も繰り返し注意喚起を行っています。必ず医療機関を受診し、母体保護法指定医の診察・管理のもとで処方を受けてください。

参考: 東京都健康安全研究センター|経口妊娠中絶薬に関する注意喚起について

エリス婦人科クリニック川崎駅では中絶薬を取り扱っているのか?

2025年9月現在、エリス婦人科クリニック川崎駅ではメフィーゴパックの取り扱いは行っていません。

当クリニックは母体保護法指定医在籍の医療機関ではありますが、患者さまの身体的・精神的な負担、薬剤にかかる費用、そして副作用や出血といった健康リスクを総合的に考慮し、安全性の面から、現時点では外科的な中絶手術を中心に対応しています。

中絶薬(メフィーゴパック)とは?

メフィーゴパックは、妊娠63日(妊娠9週0日)以内の子宮内妊娠に限り使用できる人工妊娠中絶用薬です。服用後は原則、胎嚢が排出されるまで入院または院内待機が必須となっています。

厚生労働省によると、メフィーゴパック服用後24時間までに人工妊娠中絶が成功した被験者の割合は93.3%(112/120例)と報告されています。

中絶薬の仕組み

メフィーゴパックは、ミフェプリストンとミソプロストールという2種類の薬を組み合わせた薬剤で、この2剤を順番に使うことで、それぞれが体内で異なる働きをします。

ミフェプリストン

妊娠維持に必要とされる黄体ホルモン(プロゲステロンなど)の作用を抑制し、子宮内膜の変化を促して妊娠環境を維持できないように作用します。

ミソプロストール

子宮を収縮させ排出を促すプロスタグランジン類似物質です。これにより、妊娠環境が維持できなくなった子宮内容物を、体外に排出します。

中絶薬の副作用やリスク

中絶薬の副作用として、以下のものが挙げられます。

中絶薬の副作用

膣からの出血、下腹部痛、下痢、嘔吐、頭痛、めまい、腰背痛など

厚生労働省の発表によると、副作用の発現割合は57.5%であり、主に下腹部痛(30.0%)や嘔吐(20.8%)となっています。重大な副作用としては、重度の子宮出血(0.8%)や感染症(頻度不明)等が報告されており、メフィーゴパックによる人工妊娠中絶が失敗した場合は、外科的処置が考慮されます。

参考: 個人輸入される経口妊娠中絶薬(いわゆる経口中絶薬)について

中絶薬のリスクは?中絶手術との比較

人工妊娠中絶には、経口薬による方法のほかに外科的手術(吸引法や掻爬法)があります。この2つには、費用、必要な時間、身体への負担などが異なります。

中絶薬(メフィーゴパック)

費用
薬剤費+経過観察や入院費用を含め、15万〜30万円前後になることが多い
要する時間
ミフェプリストン服用後、36〜48時間でミソプロストールを服用。さらに胎嚢排出まで24時間前後かかることがある。
身体への負担
  • ・大量出血のリスク
  • ・海外では感染症による死亡例の報告
  • ・約7%で中絶が完了せず、追加処置が必要になることがある

中絶手術

費用
一般的に10万〜25万円程度
要する時間
手術そのものは約15分程度で終了。術後のリカバリールームでの休養を含めても、日帰り手術が可能。
身体への負担
  • ・合併症や後遺症のリスクは低い
  • ・術後の不妊リスクが低い
  • ・麻酔を使用するため術中の痛みは少ない
  • ・1回の手術でほぼ確実に中絶が完了する

中絶薬は手術を避けられる点で注目されていますが、実際には強い腹痛や大量出血が伴う可能性があり、さらに7%前後は中絶が完了せず追加手術が必要になると報告されています。安全に中絶を行うためには、服薬後の待機や再診が欠かせません。

一方、中絶手術は、リスクはゼロではないものの、短時間で終わり、ほぼ確実に中絶が完了する方法です。日帰りで行えるため、精神的・時間的な負担が少なく、麻酔を使用することで術中の痛みも抑えられます。

エリス婦人科クリニック川崎駅では、こうしたリスクと安全性を総合的に判断し、現時点では手術による中絶を中心に行っています。

中絶薬の値段(費用)は?

中絶薬の費用

中絶薬による処置にかかる費用は、薬そのものの価格だけでなく、初診料・診察料・血液検査や超音波検査の費用、さらに入院や経過観察の費用などがかかります。そのため、医療機関によって請求金額は大きく異なります。

国内の医療機関での総額は、15万〜30万円前後に及ぶケースが多く、入院や院内待機を伴う場合には費用が高くなる傾向があります。

一方で、中絶手術の費用相場は10万〜25万円程度とされており、実際には中絶薬との料金差は大きくありません。むしろ、医療機関によっては中絶薬のほうが高額になる場合もあります。

今後、中絶薬は流通量や需要の変化によって価格が変動する可能性があります。利用を検討する場合は、必ず事前に医療機関で見積もりを確認してください。

※上記の相場は2025年9月現在の情報です

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中絶薬で失敗することはあるの?

中絶薬の中絶成功率は

中絶薬を使用しても、100%中絶が完了するわけではありません。国内の臨床試験(対象120例)では、ミソプロストール投与後24時間以内に中絶が完了したのは112例で、成功率は93.3%でした。

つまり、約7%は中絶が完了せず、追加の処置が必要になるということです。その場合は、さらに経過を観察して自然排出を待つか、外科的処置を受ける必要があります。

これに対し、中絶手術は1回の処置でほぼ確実に中絶が完了します。失敗率の差を考えると、中絶薬のリスクは軽視できないといえるでしょう。

日本で中絶薬の承認が遅れた理由

経口中絶薬「メフィーゴパック」が日本で承認されたのは2023年4月28日です。ですが、WHO(世界保健機関)は2005年以降、安全な中絶に関するガイドラインでミフェプリストンとミソプロストールの併用を推奨しており、2022年の改訂版でもこの立場を明確にしていました。では、なぜ日本での承認が遅れたのでしょうか。

理由としては大きく2点が挙げられます。

1.倫理的な問題

日本では人工妊娠中絶そのものへの社会的議論が多く、倫理的観点から承認に慎重な姿勢がとられてきました。

2.中絶手術のクオリティの高さ

日本の中絶手術は成功率が高く、所要時間も15分程度と短時間で、安全性も高い水準にあります。このため、「薬による中絶の必要性」が議論されにくかったと考えられます。

ただし、承認された薬剤であっても誤った使用方法をとれば重篤な健康被害につながるリスクがあります。今後は薬の普及とともに、安全な使用体制をどのように確立するかが課題となります。

正しい情報を見極めて選択を

人工妊娠中絶には、今回紹介したように薬を用いる方法と手術による方法があります。

いずれの方法も長所と短所があり、「どちらが絶対に優れている」と一概に言えるものではありません。中絶は、女性にとって身体的にも精神的にも大きな負担となる可能性があります。だからこそ、正確な情報をもとにした検討と、安心できる環境での医療が欠かせません。

インターネット上の断片的な情報ではなく、信頼できる医療機関から得られる正確な情報に基づいて判断をしましょう。

エリス婦人科クリニック川崎駅では、患者さま一人ひとりの状況を丁寧に伺い、最も適した方法を一緒に考えていきます。中絶をご検討中の方は、まずはご相談ください。