エリス婦人科クリニック川崎駅

搔爬(ソウハ)法と
吸引法(EVA・MVA)の違い

Difference

妊娠週数によって変わる中絶手術の方法

妊娠週数別の中絶手術の種類

人工妊娠中絶手術は、妊娠週数によって方法が異なります。

妊娠12週未満で行う中絶手術は「初期中絶」と呼ばれ、搔爬(ソウハ)法または吸引法のいずれかで子宮内容物を取り除きます。

これに対し、妊娠12週を過ぎ22週未満の場合は「中期中絶」となり、入院して分娩と同等の形で手術を行う必要があります。中期中絶は身体的・精神的な負担が大きく、死亡届の提出義務があるほか、費用も初期中絶より高額になる傾向があります。

このため、妊娠の継続を望まない場合は、できるだけ12週未満での受診・手術が推奨されます。現在、エリス婦人科クリニック川崎駅では、妊娠週数の確認を実施しています。

目次

初期中絶手術|ソウハ法と吸引法の比較

初期中絶には、搔爬(ソウハ)法と吸引法(EVA/MVA)の2つの術式があります。 どちらも子宮内容物を取り除く手術ですが、使用する器具や操作方法、かかる時間、身体への負担に違いがあります。

掻爬法(ソウハ法)

手術方法

スプーン状の器具を使い、子宮内を掻き出す

術中の痛み

子宮口を広げる処置で痛みを伴う場合がある

手術時間

吸引法より長くなる場合がある

術前処置

多くの場合、事前に子宮口を広げる必要がある

特徴

日本では長年用いられてきた術式

メリット

医師が手の感覚で子宮内の状態を確認しやすい

デメリット

手術時間が長く、出血や炎症リスクが高まる傾向

吸引法(EVA/MVA)

手術方法

細い管状(カニューレ)の器具を子宮内に挿入し、子宮内容物を吸い出す

術中の痛み

静脈麻酔下で行うため痛みを感じにくい

手術時間

およそ10~15分程度の比較的短時間で終了(MVAはさらに短い傾向)

術前処置

基本的に事前処置は不要
※必要に応じて手術当日に麻酔下で拡張処置を行うケースもある

特徴

WHO(世界保健機関)や国際産婦人科連合が推奨する術式

メリット

身体への負担が少なく、合併症リスクが低い

デメリット

掻爬法(ソウハ法)と比べると、費用がやや高くなる傾向がある

自動吸引法(EVA)と手動吸引法(MVA)の違い

自動吸引法(EVA)と手動吸引法(MVA)の違いは、主にカニューレの材質と吸引方法にあります。

EVAは金属製カニューレを使用し、安定した吸引力が特徴です。一方でMVAは使い捨てのプラスチック製カニューレを使用します。柔らかいストロー状のため、圧力を細かく調整でき、子宮への負担をより軽減できます。

吸引法による中絶手術は、妊娠初期に行える安全性の高い方法で、世界保健機関(WHO)や国際産婦人科連合も推奨しています。特にMVAは低侵襲(身体への負担が少ない術式)で術後症状も軽くなる傾向がある点が評価されています。

WHOは妊娠12〜14週までの外科的中絶について、従来の掻爬法(D&C)ではなく吸引法(VA)への切り替えを推奨しています。

「世界保健機関(WHO)は、妊娠12~14週までの外科的中絶に真空吸引法(VA)を推奨しており、頸管拡張と鋭匙による掻爬法(Dilatation & Curettage:以下D&C)を行っている場合はVAに切り替えるべきであると提言している。」

中絶手術の方法について
よくあるご質問

Q 身体への負担が少ない中絶手術の方法はどれですか?
A

妊娠初期では、MVA(手動吸引法)が比較的負担の少ない方法とされています。MVAは柔らかいプラスチック製カニューレを使用し、医師が吸引圧を細かく調整できるため、子宮頸管や子宮内膜への損傷を最小限に抑えられます。術中・術後の痛みや出血リスクを軽減でき、手術時間も短く済むため、麻酔による負担も少なくなります。

Q 中絶手術後に起こる可能性のある症状やリスクは?
A

多くの場合は軽度ですが、術後に腹痛・出血・めまい・頭痛などが見られることがあります。これらの症状はほとんどが一時的ですが、まれに感染や子宮内の癒着などの合併症が起こる可能性もあります。この場合は、強い痛み、多量の出血、発熱なとの症状を伴います。一般的に、吸引法(特にMVA)はカニューレが柔らかく身体への影響が少ない傾向にあるため、子宮頸管や内膜への損傷リスクが低く、術後症状も軽くなる傾向があります。